自転車と自動車による交通事故が起こった時の慰謝料

免許不要で使える気軽な乗り物として親しまれている自転車ですが、実は事故に遭遇する可能性が高く、何時だれが被害者になってもおかしいとは言えません。そこで知っておきたいのは、もしも事故に巻き込まれた場合の対処です。

壊れた自転車や怪我への損害賠償を求めることはもちろん、慰謝料の請求も可能です。今回は後者にフォーカスして、わかりやすく紹介してきます。

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自転車と自動車による事故の特徴

道路交通法の区分によると、自転車は軽車両として扱われており、自動車と同じように車道を走るのが基本となっています。しかし、自動車とは大きく違って、身を守るものがほとんどないのが特徴です。操縦者を守る装甲もありませんし、エアバッグなども備わっていません。

加えて自転車に乗ると言う不安定な状態で事故に遭うことになるので、自動車に衝突されると、どうしても大きな怪我に繋がりやすくなっています。このような事情もあって、自転車と自動車の事故では、前者の方に過失があっても、後者のほうが過失割合の認定で不利になるケースが多いのです。

つまり、自転車のほうが交通弱者として保護されやすいと言う特徴があります。一応は車両として扱われるものの、実質的には歩行者と余り変わらない扱いがなされているわけです。

事故に遭った時に請求できる慰謝料について

最初に慰謝料の意味について確認しておきましょう。慰謝料は損害賠償の一種ですが、物理的な損害ではなく、精神的な苦痛に対して支払われる金額を指します。民法710条の、不法行為による精神的損害に対して、賠償を認めると言うのが根拠規定です。

民法上の不法行為と言うのは、故意・過失によって、誰かに損害を加えることを指します。このために、慰謝料については事故の相手方の故意・過失がなければ、賠償責任は生じないことになるわけです。自動車の運転手がスマホを見ながら走っていて、自転車に気付かずに衝突したとか、わざと信号を無視して走ってきた自動車にはねられたなどの場合に不法行為となり、損害賠償・慰謝料を請求できるようになるのです。

なお、慰謝料は精神的な苦痛に対して支払われるものですので、物損事故では請求ができないのが一般的な考え方となります。通常は自転車や自己の持ち物が壊れても、物的損害として扱われるため、原則として慰謝料の対象にはなりません。

修理費用や事故時の時価総額を計算して、弁償されるのが一般的です。特殊な例としては、芸術品やペットに関して、慰謝料が支払われたケースがあります。これらは法律的には物として扱われるものの、所有者や飼い主の精神的苦痛が認められ、稀に慰謝料請求が可能となることがあるのです。

自転車でこれらを運搬中だった時には、可能性があるため検討してみましょう。結論としては、物損事故では損害賠償が主体で、上記のような一部例外を除いて慰謝料請求はできないと考えて下さい。慰謝料請求の中心となるのは、人身事故の場合です。

怪我や死亡によって、平常時には計り知れない精神的なダメージを負うことが少なくありません。

このために人身事故については色々な観点から、損害賠償に加えて慰謝料請求ができます。

人身事故でできる慰謝料請求の種類

人身事故では主に4つの種類の、慰謝料請求が可能となります。それぞれ通院・入院・後遺障害・死亡に関してとなっており、基本的には、これらのうち何れか、あるいは複数の内容の請求が可能と考えて良いでしょう。まず、通院・入院・後遺障害については、事故に遭った本人の精神的な苦痛を推し量ることは容易です。

とにかく痛みや恐怖を感じるわけですし、体の自由が効かなくなる不都合もあります。これに関して加害者側が、慰謝料を支払うのは当然でしょう。問題は死亡に関してです。死んでしまった本人に苦痛を感じる余地があるのか、と言うことで争いになったこともありましたが、今では認められることになっています。

更に加えて本人死亡時では、遺族の方自身が被った精神的苦痛自体を対象として、慰謝料の請求が可能です。つまり、遺族としては、死亡した本人に生じた分を相続して、代わりに請求できるのが一つ。更に遺族自身が感じた苦痛に対しても、慰謝料を求めることができるのです。

慰謝料の請求には過失割合が大きく関わる

自転車と自動車の事故では前者が有利になりやすいものの、過失割合の観点では必ずしも100%が認められるわけではありません。自転車の運転にも問題が指摘され、過失相殺と言うことで90:10となってしまうようなケースは多いです。

特に自転車は交通ルールを理解していなかったり、無視して走行しているケースが少なくはないもの。このために、実際の事故では自転車側に大きめな過失が認められ、請求できる慰謝料額にマイナスに働くことがしばしばあります。

それでは、実際にどのような過失割合になりやすいか見てみましょう。一般的に良くある交差点での巻き込み事故から紹介していきます。これは自転車が左側を走行中に、前方の車がそれに気付かずに交差点で左折しようとして巻き込んでしまうパターンが一般的。

このタイプでは自転車にも多少の責任があると言うことで、1割程度の過失相殺が認められることが多いです。つまり、自転車対自動車で見ると、10:90の過失割合になるのが良くあるケース。自転車の操縦者が子供だったり、車がウインカーも出さずに左折して巻き込んだような場合では、自転車側に有利になりやすいです。

なお、停止していた自動車が急にドアを開け、それに自転車がぶつかるケースも、自転車対自動車で10:90の過失割合になることが多くなります。こちらは車の運転手が後方を全く見ていないで事故になった場合などで、自転車に有利になりやすいです。

自転車が右側を走行していた場合には、少々、過失割合で不利になるのが一般的。自転車と言え左側通行が基本ですから、これに反していた場合は重めの責任を負うことになります。とは言っても、事故になった時には自動車側の方が責任が重いのが通常。

したがって、自転車対自動車では20:80の過失割合になることが多いようです。

自転車からの慰謝料請求の問題点

自転車に乗る場合は、車と違って保険に加入していないケースが大半です。このために交通事故の被害者になった時、自動車側は保険会社のスタッフを交渉に使ってきますが、自転車側は自身で対応することが必要になってきます。

保険会社のスタッフは専門知識も豊富で、加害者を守るために被害者にとって不利な条件を提示をしてくるのが一般的。被害者としてはプロに対して自身の力で交渉に臨む分、言いくるめられたりして泣き寝入りになることもありえるのです。

争った結果として裁判にもつれ込むこともありますが、これも個人でやるのは難しい一面があります。裁判官は被害者の肩を持ってくれるわけではないので、証拠を集めたりして、自身の請求を認めてもらうように努力していくことが必要です。

これは法律に基づいて行う必要があるため、弁護士のサポートなしでは難があります。結論としては、保険未加入の場合には交渉で不利になりやすく、裁判にもつれ込んでも何かと大変ですから、早期のうちに弁護士を検討しておきましょう。